1日午後、香港の中心部で市民による大規模なデモが行われた。香港政府のトップである行政長官を制約のない「真の普通選挙」で決めることを求めた。香港では2017年の行政長官選挙で初めて普通選挙が実施される見通しだが、中国政府は人物を事前にふるいにかける考えを明確にしており、民主派や多くの市民が強く反発している。
デモは香港島の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)にあるビクトリア公園を1日午後に出発。「真の普通選挙を実現せよ」「事前にふるいにかける選挙は反対」といったスローガンを掲げた政党や市民団体らが香港島のメーンストリートを行進した。親中の梁振英(C・Y・リョン)行政長官の辞任を求める声も相次いだ。
香港警察は同日夕、ピーク時で1万1100人が参加したと発表した。デモを呼び掛けた民間団体の民間人権陣線(民陣)は事前に5万人の参加を見込んでいた。
この日は「真の普通選挙」以外にも、労働条件の改善や市民全員を対象として年金制度の制定など民生の充実を掲げる団体も行進。中国政府が非合法化している気功集団「法輪功」も自らの楽団を仕立てて参加した。
香港の行政長官は前回12年までは、親中派のビジネス界の代表らで構成する少人数の選挙委員会の投票で決めてきた。中国共産党は次回17年については「普通選挙を実施してもよい」としているが、最近になって「中央政府に対抗する人物は行政長官にはなれない」「(行政長官は)国を愛し、香港を愛すること」といった前提条件を示し、民主派らの立候補を阻む考えを明確にしている。